仲良くしたいのに、気持ちがすれ違う。
相手が家族でも友人でも恋人でも夫婦でも、誰しも一度くらいは悩んだことがあるのではないでしょうか。
ちなみに僕はこれが子どもの頃は本当に苦手でした。
そもそも相手に合わせるということができず、自分と合う人間は味方、そうでない人は敵くらいに思っていました。
学生時代はそれで問題ありません。
嫌いな人や苦手な人には関わらなければいいだけです。
逆に無理して関わる理由もありませんでした。
しかし、こんな生活や考え方に慣れていたため、社会人になって困ったことは言うまでもありません。
社会では一緒に働く人を選ぶことはできない
よほどその職場で地位が上がらない限り、自分の望み通りの配属先や環境を選ぶことはできません。
面倒な人間関係を避けて社会人になってしまった僕は、ここでとても苦労することになります。
社会人3年目くらいまでは、常に人間関係の構築に悩まされていました。
その相手はもっぱら合わない先輩や上司でした。
上にはへこへこするが、下には厳しい人。
自慢が多い人。
断れずに食事に誘われ、しかも後輩に対しても割り勘を強要してくる人。
陰で自分より立場の低い人間の愚痴や悪口を言う人。
こんなのは序の口ですが、自分が何となく思い描いていた上司像からはかけ離れた人間が非常に多かったように思います。
もちろんそういう人が相手でも、立場が上の人間ならうまくかわしたりやり過ごしたりするべきだったのですが、当時の僕はそれができませんでした。
どうしてもそのような人を受け入れることができず、うまく立ち回ることができませんでした。
軽蔑している態度がもろに出ていました笑
もちろんそんな僕が先輩に可愛がられるわけでもなく、きっと生意気な奴と思われて陰で色々と言われていたと思います。
そんな僕でしたが、唯一の救いは直属の上長に恵まれていたことです。
厳しく指導を受けることもありましたが、人間的にしっかりしており、そして指導を受ける内容も心から納得できるものばかりでした。
その人に言われてすごく心に残っている言葉があります。
「どんなに合わないと思う人でも、君より社会経験が長い人には必ず君が学べる何かを持っている。嫌いという理由だけで蓋をして、学べるものからも目を背けてしまうことはもったいないことだ」
当時の自分には刺さりました。
確かに自分が無理だ、と思う相手はその一点張りで、良いところを見ようなどという発想は皆無でした。
その言葉を受けてから、人を見る目が変わりました。
どんな人からも、見る目を変えれば必ず学べる点がある!
その上長の言うとおりでした。
自慢は多いけど、確かに保護者からの人望が厚い人。
その人はよく見ると、毎日自分の想いをブログに綴り、保護者や生徒に発信していました。
ブログを毎日更新するというのは誰にでもできることではありません。
子どもの成績をめちゃくちゃ伸ばす先生がいました。
その人は授業中、子どもたちに演習させている時も絶えず机間巡視を行い、少しでも指示と違うことをしている生徒には容赦なく指導していました。
生徒に言うことを聞かせ、全員に指示通り動かすということは、簡単なことではありません。意外と多くの教師が見て見ぬふりをします。
なんとしてでも生徒を伸ばそうという執念を感じました。
これらは一例ですが、良いところを見つけようという気持ちで接するようになるだけで、驚くほど見方が変わります。
同時に学べることも多く、そこから加速度的に自身も成長したように思います。
それまで合わないというだけの理由で色んなことをシャットアウトしていたことを本当にもったいなく思いました。
同時に、この経験をきっかけに、嫌いな人が減りました笑
文字通り、人間的に大きく成長できたように感じました。
これが社会人ちょうど3年目の時です。少し遅すぎますね笑
上の立場になると、見えないものが増える
しかしそんな自分にまだまだ壁が押し寄せます。
これまでの記述からも分かるように、元来自己中心的な人間だったので、根本から180度完璧に変えることはなかなか難しい。それを切に感じたのが、初めて管理職になった時のことです。
正直それまではたくさん上長に対して不満をかかえていました。
だから自分が管理職になったら、そのような思いを自分の部下や後輩にはさせるものかと考えていたものです。
しかし実際に管理職になってみるとこれが本当に難しい。
経験した方なら分かると思いますが、とにかく余裕がないのです。
責任感のある仕事が増え、何をやるにも管理職の責任。
このような重責で手一杯になっていながら、部下に配慮したり気にかけたりする余裕は微塵もありませんでした。
そんな余裕がない状況だと部下への指示が雑になったり、そんなつもりはなくても言葉尻がきつくなってしまったり、気づかぬうちに部下に様々不満を持たせることになってしまうのです。
また、上司になったからという理由だけで偉そうにしていいわけでは当然なく、部下に気持ちよく働いてもらえる対応や工夫が必要なことにも気づきました。
ここでも人間関係には悩みました。
色んな部下がいます。
忠実で、上を目指してどんな難題もこなそうと努力してくれる人もいれば、会社にそんなに帰属意識もなく、やりたくない仕事には平然とNoと言う人もいます。
万人に対して成功する絶対的な方法があるのではなく、個々の特性に応じて対応を変えないといけないことを学び、長年の課題になっていました。
苦い経験もしました。
明らかに部下に落ち度があり、厳しく叱責しました。
しかしその叱責の仕方が気に食わないという理由で私よりさらに上の者に文句を言う人もいました。
正直私もかなり腹が立ちましたが、叱責内容に納得させられなかったからには自分の言い方にも反省点があったのかななど、色々考えました。
このような苦い経験を重ねることで、身をもってある答えを導きます。
相手のことを思いやる!
自分はこれを言ったら相手がどう思うか、という感性が欠けていました。
たとえばある部下が取引先の人が不快になる態度をとり、クレームが来たとしましょう。
そこで大勢の前で、「何をやっているだ!」と叱責したとします。
叱責すること自体は間違っていませんが、敢えて叱責される立場からしたらどうでしょう。
「わざわざ皆の前でさらしものにするような怒り方しなくても」
みたいな感覚を持たれる可能性がありますよね。
もちろん叱責される側が何を偉そうに、という感覚もあるかもしれません。
実際私はそうでした。叱られたくないなら叱られるようなことをするなよ、と、内容にもよりますが擁護する気はさらさらありませんでした。
しかしこういいう時こそ怒りをぐっとこらえ、どう叱るかを考える必要があることを学びました。
その対応次第で、その部下からの今後の見られ方は大きく変わるのです。
それ以来、もし上記のような事象が起きた際は、必ずさりげなく二人になれる場所に連れ、まずは話を聞くようにしています。
頭ごなしではなく、なぜそのようなことが起きてしまったのか、部下の口から言わせるようにします。
そして次に同じようなことが起きないようにする方策をともに考えるようにしています。
このように、場所や話し方、色んなことを考えてあげる必要があります。
これをこのように伝えると、相手はどう感じるか、どんな反応を示すか。
言う前に、まずは頭の中でシミュレーションすることです。
そのために大切なことは日頃からしっかりとコミュニケーションをとり、相手がどんな人かを知ることです。
相手を知るということは、自分のことも知ってもらうということ。
これらが成立していない内に信頼関係を築くことはできません。
まとめ
いかがでしたか?
自分の思いを分かってほしいと嘆く前にまず大切なことは、まずは相手のことを知ること、そして相手の立場に立って物事を考えることです。
考えてみれば、これらは多くの職種の基本です。
お客様あっての商売です。
そこにお客様の気持ちを考えるという観点が抜けていれば、その事業が発展することはまずあり得ません。
発言の前に、相手がどう感じるかという視点を持ち、深呼吸してみて下さい。
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