分かりやすく説明するには「一文」を短く!
教師になったばかりの人がつまずく項目はたくさんありますが、やはり内容を分かりやすく伝えるということに悩む人は多いでしょう。
僕もこの点にはかなり悩みました。
教科の知識は十分なのに、なぜかうまく話せない、言っているうちに、自分でも何が言いたいのか分からなくなってきた、論理が破綻している、順序がめちゃくちゃ、など。
練習すればするほどどんどん分かりにくくなり、説明する言葉を増やす分だけくどくなり、生徒の反応も悪い。
なぜ自分の授業はこんなにも分かりにくいのだろうと、変な汗をかきながら必死で授業をしていました。
いやあ、懐かしい笑
理由ははっきりしています。
それは単純に言葉が多すぎたのです。
若手の先生の中には、分かりやすく説明するためにはたくさんの言葉を用いて詳しく丁寧にしなければ!と思いますよね。
確かに一理あるのですが、意外とシンプルであっさりしている方が子どもはスッと理解できる可能性が高いです。
なぜなら説明する言葉が多いということは、それだけ子どもたちも頭の中でその言葉の数だけ脳内処理をしないといけないからです。
特に中学生は部活などで疲れている状態で授業を受けることが多いです。
ただでさえ疲れている生徒に、情報量が多くなる言葉の連射は、却って集中力を切らす原因にもなります。
これを防ぐためには、一文は短く切って話すことを意識してみて下さい。
これを意識しないと不必要に言葉が多く、一文が長くなってしまいます。
これは聞く側になればよく分かりますが、結構苦痛です笑
一例です。
「さあ、今日も授業を始めていくので姿勢を正してテキストの47ページを開いたらノートも新しいページを開けて一番上に今日の日付を書いてそこまでできたら鉛筆を置いて静かに待っていなさい。」
めちゃくちゃ長いですね。
文章で表しても分かりにくいし、何なら読むことをやめたくなります笑
これを短く区切って表現するとどうでしょう。
「さあ、今日も授業を始めていこう!姿勢を正しなさい。テキストの47ページを開けましょう。ノートも新しいページを開いて下さい。一番上に今日の日付を書いておきましょう。できたら鉛筆を置こう。静かに待っていなさい。」
ぜひとも上記の文を声に出して読んでみて下さい。
言う側も端的に言いたいことが言えていますよね。
聞き手も順序立っている上に一文が短いので、一つひとつの内容がスッと入ってきます。
このように、説明がシンプルで一文を短くすれば、説明している最中に内容が支離滅裂になることはまずありません。
説明や話が上手な人は、ほぼ間違いなく一文を短くまとめています。
これは初心者でも真似しやすいテクニックの一つなので、ぜひ参考にしてみて下さい。
発問でリズムを作る!
授業が上手な先生に共通すること、それは間違いなく授業のテンポが良いということです。
逆にどんなにベテランの先生でも、このテンポが悪ければ、残念ながら子どもたちが授業中に緊張感と集中力を保つことはできません。
そしてこのテンポやリズムを作る上で重要なことが、「発問で授業を組み立てる」という発想です。
もちろん教科や単元によっては難しい時もあるかもしれませんが、私は授業で説明する際は、ほぼ発問で授業を組み立てます。
私が専門の英語の授業を行う一場面を軽く紹介します。
新しく「間接疑問文」を指導するとします。
さあ、今日も元気よくいくぜ!
まずは間接疑問文を行う前に復習な!
「私は彼が親切であることを知っています」
これ英語に直して。
じゃあ、田中、教えて!
そう!I know that he is kind.だよね。
中2で習った知識やな。
じゃあこのthatって何のthat?
鈴木、言ってみよう!
よく覚えてるやん。
そう、接続詞だよね。
じゃあこの接続詞thatを含むかたまりは、品詞で言うと何の働きしてる?
岡田!
素晴らしい!そう、名詞やな。
実は今日これから教える間接疑問文も、この名詞のかたまりを作るねん。
じゃあ、今から一緒に文を考えよう。
「私は彼がどこに住んでいるか知っています。」
さあ、この文の主語と動詞はどこ?最初と最後見たら簡単やな。吉田。
そう、上と同じでI knowやな。
日本語の主語と述語の部分が英語の主語、動詞になるもんな。
さて、この日本語、みんなが知らない単語ってないよね。
「どこ」って英語でどう表す?山田。
そう、whereやな。
ちなみにwhereもやけど他にwhatとかwhoみたいな単語をひっくるめて何て言うたっけ?山下。
その通り。疑問詞やな。実はこの間接疑問文では、中1の時に習った疑問詞が大活躍するねん。
ちなみに今まで疑問詞の後にはどんな文が続いてたっけ?村田。
せやねん。疑問文がきてたよな。どころがこの間接疑問文は最初にやってもらった接続詞thatと似たような働きするねん。だから肯定文が基本的に続く。
ということで、I know where he lives.って文になるよ。簡単やろ。
上記は一例です。これをテンポよく行うコツとして、発問する際に、発問してから誰を当てようか悩まないことです。
質問してから誰を当てようか悩み、時間がかかると、ここで逆にテンポやリズムが崩れます。
発問したらすぐさま指名するようにすると、テンポは崩れません。
不慣れなうちは、発問内容だけでなく誰に発問するかまで、授業前にシミュレーションしておくと良いかもしれません。
最後に問題演習で定着状況を確認!!
不慣れなうちは、一生懸命説明しても、その説明内容を子どもたちが理解してくれているかとても気になりますよね?
先述した発問で答えられるかでも判断はできますが、手っ取り早いのは問題演習の時間をとり、その際に必ず生徒たちの解いている様子を見て回る、「机間巡視」を行うことです。
すらすら解けている子がクラスの半分以上いるなら、全く問題はないでしょう。
逆にあまりに手が止まっている生徒が多いなら、説明に少し問題があったと反省し、いったん演習を中断させてもう一度丁寧に説明するなど、対策が打てます。
また、つまずいている生徒がごく一部なら、その生徒にはその場で個別に指導してあげることもできます。
この机間巡視は別の機会でも触れますが、定着状況だけではなく子どものことを知るための手段として、に非常に大切な行動です。
ぜひとも実践してみて下さい。
まとめ
本日は授業スキルを上げる方法を述べましたが、もちろんこれが全てではありません。
しかし何から始めればよいか分からない初心者にとっては非常に大切な考え方を書きました。
「一文を短くして説明する」
「発問でリズムを作る。そのために、発問内容と、誰に当てるかまで考えておく」
授業準備の際に意識することはこれだけです。
これだけであなたの授業は劇的に分かりやすくなるはずです。
ぜひ教材研究の際に、実践してみて下さい。
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